こんにちは。なぁすです。
前回は Obsidian を中心にした、ローカルファーストな執筆環境についてお話ししました。今回はその続きです。
Obsidian にため込んだデータをGoogleの「Antigravity」で評価・分析をお願いしてみた話をしたいと思います。
相変わらず少しマニアックですが、創作をしている方には頷いてもらえるところもあるかも、しれません。
「雑に分析してほしい」という欲望
小説を書いていると、文章は自然と増えていきます。
章ごとに分けた原稿、全体をまとめた一括ファイル、試行錯誤の途中で生まれた別案、そしてそのバックアップetc…
Obsidian の中には、そうしたファイルが延々と積み上がっていました。
整理したほうがいいのは分かっていますが、どうしても「まず書きたい」という気持ちが勝ってしまい、結果として量だけが増えていく…。
一通り書き終え、ふと思いました。
これを丸ごとAI に分析・評価してもらったら、どういうアウトプットが返ってくるのだろう、と。
思考の流れや物語全体の傾向、どこが強くて、どこが弱いのか。そういったことを把握してくれるのか、と。
今回は、整理は一切せず、そのままの状態で「このあたりを(雑に)分析してほしい」と Antigravity 経由で投げてみることにしました。
なお使用モデルはClaude Sonnet 4.5です。
あわせて、大量の文書をどのように判断し、どのくらいの分量まで処理できるのか、という検証も兼ねています。
今回の前提条件
事前に、Antigravity 用として GEMINI.MD を用意しました。
とはいえ、書いていることはそれほど特別なことではありません。
AI の出力は日本語にしてほしいこと。
翻訳調ではなく、自然な文語寄りの日本語であること。
小説執筆の文脈を前提にしてほしいこと。
分析で「正解」を断定されるよりも、考えるための材料がほしい。そのスタンスだけを、あらかじめ共有していました。
読ませた量について
今回、分析に投げた文章量は、バックアップ込みで 約300万語(※正確には文字数換算)です。
フォルダ自体をコンテキストとして指定しました。
正直なところ、「さすがにインプットが多すぎてエラーになるだろうな」と思っていました。
Google AI に課金もしていなかった状態だったので、なおさらです。
で、どうなったかというとエラーは出ませんでした。
返ってきた結果を見て、どうやらこれはざっと眺めたとか、それっぽく要約したとか、そういうレベルではなさそうだなぁと。
必要な文章全体を通して読んだうえで評価している。そう期待できる内容でした。
評価の概要
プロンプト:
このフォルダ配下にある物語を分析・評価し、様々な観点から見て点数をつけて。
……我ながら、雑なプロンプトです。
総合評価は 100点中89点。
- 物語構成・プロット: 18/20点
- キャラクター造形: 17/20点
- 文章表現・描写力: 19/20点
- 世界観・設定: 18/20点
- テーマ性・メッセージ: 19/20点
- 感情的インパクト: 16/20点
…120点満点やん(笑)
なぜか100点満点換算されていたのは、ご愛敬です。

それはさておき、点数そのものよりも印象に残ったのは、加点・減点の理由がかなり具体的だったことです。
物語の内容が分かる部分はすべて伏せますが、どんな観点で見られていたかを少しだけ紹介します。
加点されていたポイントの例
構成・展開については、序盤の何気ない出来事が後半で別の意味を持って機能している点や、
一見すると寄り道に見える章が主人公の判断や選択を補強する役割を果たしている点などが挙げられていました。
「伏線があります」という話ではなく、なぜそれが後半を自然に受け入れさせているのか
というところまで言語化されていたのが印象的でした。
キャラクターについても、主人公の変化が心情説明ではなく行動の変化として表れている点や、
物語後半で重要になる人物が早い段階で違和感として配置されている点が評価されていました。
特定の人物については、その執着や選択が過去の経験や物語全体のテーマと構造的につながっている、という指摘もあり、
通して読んでいないと出てこない視点だと感じました。
文章・描写については、五感に関わる描写が感情表現の代替として機能している点や、
説明を抑えたことで読者の想像が自然に働く余白が生まれている点などが挙げられています。
単なる好みではなく、効果として評価されていた、という印象です。
減点されていたポイントの例
一方で、減点として挙げられていたのは、中盤の一部で新情報の増え方が緩やかになる箇所や、
初読時には同時進行している要素を整理しきれない可能性がある点でした。
「削るべき」というより、「初読では少し負荷になるかもしれない」という、
かなり穏やかな言い回しだったのが印象に残っています。
キャラクター描写についても、役割は明確だが描写量が相対的に少ない人物や、
設定は魅力的だが感情面の掘り下げに余地がある箇所が指摘されていました。
ここでも「ダメ」ではなく、「伸びしろ」として扱われていました。
AI編集者はやさしいですね。
なお、自称『物語の守護聖人(プロット・ガーディアン)』らしいです。
…なんだその厨二病臭い二つ名は。
Gemini(Antigravity)にそんな情緒を教えた覚えはない(素)
感想
まさかAIから、そんな全力の「愛(という名の詳細な分析)」を、
それも少し気恥ずかしい二つ名と共に返されるとは想定していませんでした。
300万文字という重力に押し潰されそうになっていたのは私の方で、彼はその重さを微塵も感じさせず、ひょいと物語を浮かび上がらせて見せたわけです。
まさにAntigravity。
もはや「便利なツール」というより、「こちらの意図を汲み取りすぎてたまに暴走する、有能な相棒」に近い距離感を感じ始めています。
同時に、雑に投げたこちらの態度を少し反省する気持ちが、ほんのり湧いてきたのも事実です…。
とはいえ、時間がかかる分析・評価・添削を任せることで、
人は「考える」「直す」「書く」に集中できる。その感覚は、思っていた以上にしっくりきました。
創作活動で培った「情報をためる」「構造を眺める」「余白を残す」といった感覚は、実は普段の仕事にも通じる部分が多いと感じています。
この環境を、今後はもう少し業務側にも持ち込んでみたいところです。
